台灣・フィフティーン

2018年12月28日。時刻は23:10。直空で20:00に出発した成田から、向かった台北へ予定通り時刻に着陸。ここから、翌日14:10のホーチミン行きの飛行機に乗るまでの15時間、いかに食べたいものを計画的に食べるかの真剣勝負が始まる。

台灣を訪れるのはこれで、4回目か5回目。食べたい物は迷いなく決まっている。

まず絶対に外せないのは牡蠣のオムレツ「蚵仔煎(オアジェン)」。小松菜と牡蠣と水溶き片栗粉と卵、それから甘酸っぱいタレ。シンプルなんだけど、シンプルだからこそ、卵の優しさ、牡蠣の旨味、シャキッと小松菜と、水溶き片栗粉のもちもちプルプルが全部混ざり合って、そこにタレまで乗っちゃって、思い出しただけで食べたくて涙が出てくる。事前にネットで調べて、私が到着する時間でも間に合う店を探すが、遅くまでやっている店でも1:00には閉まる。バスで空港から街まで55分。その間に閉まってしまうかも。でもそうはさせない。

当時付き合っていた彼が、前の日から台灣入りしていた。私はカンボジアのアンコールワットで年越しすると決めていたが、彼はそのまま台灣で年越しの予定。早速彼にメッセージを送る。「1時頃には市内に着く予定なんだけれど、ちょっと離れたオムレツ屋は1時までなの。」私の食い意地をよく知っている彼は、有無を言わさず閉店間際にオムレツを買って私の到着するバス停の近くで待ち合わせる約束をしてくれたのであった。

渋滞もあり、バスがついたのは1時半だった。オムレツが冷めちゃう、冷めても美味しいけど。ほんのりまだ暖かいオムレツを、その場で食べる。優しい美味さ。やっと「台灣に来た」と実感するのであった。

オムレツが食べ終わると今度はコンビニへ。少し喉が乾いているので、台灣っぽい飲み物を物色。「ヤム芋とハトムギ入りの豆乳」なんていうのがあったので、買ってみる。これまた優しいお味。彼はパイナップル味の台灣ビールを。これもまた南国っぽくて美味しい。

夕食を食べていない私は、お腹が空いている。空いている店はないかと、夜中の2時を回った台北を歩くと、10分も歩かないうちに麺屋を発見。こんな時間なのにお客さんもちらほら、5、6人ほどいる。メニューを見る。高校生の時から学び始め、大学でもアドバンス・クラスを受講した中国語は、恥ずかしながら全然得意ではないが、「牛肉湯/牛肉湯麺/麻醤麺/魯肉乾麺/綜合麺‥」まあ、これくらいなら理解できる。隣の席のおっちゃんを見ると、多分牛肉湯麺っぽいのを食べていたので、同じものを注文した。麺は意外と太くて、うどんっぽい。お夜食うどん、サイズは大中小とあり、一番小さいのでも丼ぶり大盛りで、かなりお腹いっぱい。お値段160円。後から調べるとこの店はなんと24時間営業、Googleでもなかなか高評価の店だった。

夜の2時半過ぎに通りがかった肉屋では、これから寝るのか、もう起きたところなのか、おじさんが2人、せっせと豚の解体をしていた。日本で、特に都会で暮らしていると、肉って綺麗にスライスされたパックに入った状態で見ることがほとんどだけど、アジアやラテンアメリカだと市場やら肉屋やらで、どどーんと大掛かりに解体していたり、いかにも「動物の死体」という形で肉を見ることが日常的によくある。「いただきます」っていう日本語は命への感謝も含まれているし、そのニュアンスも含む似たような表現は他の言語にはなかなかなくて大好きだけれど、私は、台北で深夜の肉屋をみて思い出すのだった。日常的に食べている肉が生死に関わるものだということを。

翌朝は、9時頃のんびり起きて、まずは母に頼まれたおつかいのお茶屋さんを目指す。その途中、ちゃっかりネギのしょっぱい系クレープ「葱油餅(ツォンヤゥピン)」を道端で買って食べ歩き。そして11時からやっている小籠包屋さんに開店と共に飛び込み、まだ誰もいない店内で「幸せ〜」と唸りながら小籠包を満喫したら、タピオカ入りのジャスミンミルクティーを片手に、彼に「お互い、良いお年を!」とあいさつし、空港行きの電車へ正午過ぎに乗り込んだのだった。


【注意!】台北の地下鉄はガムも含め、完全に飲食禁止です。それを知らず呑気にタピオカミルクティーを飲んでいた私は、近くに座ったおじちゃんに注意されてしまったのでした。罰金を取られることもあるそうなので、どうかお気をつけください。

歩いたところ

Comments
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  1. 素晴らしい~~
    さらささんのせいで台湾の名物食べたくなった。
    また行かないと!

    PD:Describes muy bien la comida (:

  2. @キさん
    私も書きながらお腹がすいた記事です。台湾には他にも好きな料理がまだまだたくさんありますが、それはまた次回のお楽しみに。
    読んできただき、ありがとうございます。

地球“借り”暮らし日記
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